総義歯

義歯（有床義歯）とは、歯がなくなった所を補う装置の一つで俗にいう「入れ歯」のことです。
歯ぐきに乗せて噛む力を支えるため、ある程度の大きさと食後の取り外し、清掃が必要となります。

保険で比較的安価で作れる反面違和感や審美面、機能面での問題はかかえています。
その問題を軽減するために、様々な工夫がなされてきました。
そのいくつかをご紹介します。

保険対応　総入れ歯

義歯は粘膜で噛む力を支えるので、汎用性は高いですが、取り外しが前提となります。保健用のプラスチック総入れ歯は分厚くなりやすかったり、違和感が強くなりやすかったりすることがあります。
また、薄くすると割れやすかったりします。

料金・治療費 (税別)

保険適用3割負担の場合
(上下どちらか片方のみの値段)　
約14,000円

ほとんどの症例で使用することができる 安価

咀嚼能率(ものを噛む能力)が低い。(天然の歯の約10～20％) 違和感が強い。 アゴの骨が痩せて,徐々に合わなくなるので、まめな調整が必要 落ちたり外れたりしやすい。 割れやすい。 日常的な取り外しが必要

金属床総入れ歯

義歯床が金属で出来ている入れ歯です。入れ歯を薄くすることができるので、保険の入れ歯よりもしゃべりやすかったり、違和感が少なかったりします。また、熱も通しやすいため食べ物の温度も伝わりやすくなります。

料金・治療費 (税別)

チタン製 20万円

コバルトクロム合金製 18万円

※保険で２～３万円の補助がつきます。
※チタン製の方がコバルトクロム合金製より軽く、体にやさしい材料です。

薄く作れるので、保険の入れ歯よりも話し易かったり、違和感が少なかったりする。 金属は熱伝導性に優れているので、食事をした時の温度感覚が自然に近くなる。 汚れが付きにくいので清潔。 割れにくく、変形しにくい。

インプラントに比べると咀嚼能率(ものを噛む能力)が低い。 あごの骨が変化するので、定期的な調整が必要。 値段が高い。 日常的な取り外しが必要

インプラント義歯

インプラント義歯とは、アゴの骨に「インプラント」というチタン製のネジを入れて、その入れたインプラントを土台にして入れ歯を装着するという治療法です。義歯が固定されるため、かなり噛みやすくなります。

料金・治療費 (税別)

磁石タイプ
約40万円～140万円(インプラント2～8本
+保険義歯か自費義歯+ジョイント補強の費用)

バータイプ
約70万円～170万円
(インプラント埋入２～６本＋総義歯、ジョイントの費用)
総入れ歯を安定させるためには,最低４本のインプラントが理想ですが、ケースにより必要な本数は変わります。

入れ歯の中で、最も入れ歯をしっかりと固定することができる。 入れ歯ががたつきにくいため、痛みが出にくい。 入れ歯の中で、咀嚼能率(ものを噛む能力)が最も高い。 入れ歯が外れたりすることがほとんどない。

手術が必要。(通常は簡単な麻酔のみで、治療時間は2時間前後) 治療期間が長い。 (インプラントのネジが骨としっかりくっつくまで、2～6ヶ月程度待つ必要があります) 非常に値段が高い。

シリコン義歯

シリコン義歯とは、「コンフォート」といい、義歯の裏側がシリコンで出来ている入れ歯のことです。
シリコンは軟らかいので、「入れ歯が当たって痛い」ということが少なくなり、良く噛めるようになります。

料金・治療費 (税別)

新しい義歯+124,000円

※新義歯が出来上がった後、お預かりして加工します。

ほとんどの症例で使用することができる。 現在使っている入れ歯を改修することが可能。 より入れ歯の痛みが軽減され、より噛めるようになる。 より入れ歯が外れたりしにくくなる。

修理が難しい。 アゴの骨がだんだんと痩せてくることで、徐々に合わなくなってくる。 シリコンは分子的に細かい隙間があるため、汚れが付きやすい。 値段が高い。 専用の洗浄剤が必要

部分義歯

保険対応　部分入れ歯

保険の部分入れ歯とは？
保険の部分入れ歯では、入れ歯を支えるために、「クラスプ」という金属のバネを歯に引っ掛ける必要があります。
そのため見た目が悪くなってしまいますが、保険ではこのタイプの部分入れ歯しか作ることが出来ません。
ものを噛む能力(咀嚼能率)は、天然の歯の約20～30％程度と言われています。

料金・治療費 (税別)

約6000円～1万3000円
(上下どちらか片方のみの値段、保険適用3割負担の場合)

部分入れ歯の治療期間

最短で通院５回。約2～4週間。
(型取り→精密な型取り→噛み合わせの決定→仮入れ歯の試適→装着→噛み合わせ修正)
ただし、粘膜に問題があった場合などにはそれに対する治療を行う必要があるので、治療期間が上記よりも長くなります。

ほとんどの症例で使用することができる。 保険適応の場合は安価。 ほとんど歯を削る必要がない。

周りの歯にクラスプ(止め金)がかかるので、見た目が良くない。 部分床義歯に隣接している歯が虫歯になりやすくなる。 咀嚼能率(ものを噛む能力)が低い。(天然の歯の約20～30％) 違和感が強い。 アゴの骨が痩せてくることで甘くなると、定期的な調整が必要

アタッチメント義歯

アタッチメント義歯は金具を歯と一体型にした精密義歯のことです。
小型化することが可能で、また、歯にしっかりと固定することが可能となり簡単に外れません。バネ式のものより快適で、審美的な入れ歯になります。

料金・治療費 (税別)

260,000円+被せ物(2本以上)×2～

※アタッチメント、被せ物の種類によって料金が変わります。

止め金が見えないので、見た目が良い。 通常の入れ歯よりも遊びが少ないため、力が入りやすい。 通常の入れ歯よりも、かなり小さくできているので入れ心地が良い。

つなげている歯に負担を掛けるので、定期的な修理が必要。 取り外し前提だが、しだいに甘くなる。 自費なので値段が高い。 支えている歯の負担が大きい。

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーとは、「スーパーポリアミドナイロン樹脂」「ポリカーボネート」など弾力に富んだ素材で出来ている部分入れ歯で、金属のバネを使わない審美的な入れ歯です。

料金・治療費 (税別)

スマイルデンチャー
左右片側の場合 122,000円
左右にまたがる場合 135,000円

アルティメットデンチャー
金属床不使用 135,000円
金属床使用 188,000円

※その他必要なオプションがあれば別途料金が発生します。

薄く、軽く、弾力があるため、装着感が良く、割れにくい。 非常に見た目が良く、笑っても入れ歯だと分かりにくい。 金属を使用しないので、金属アレルギーの心配がない。

残っている歯の状態によっては使用できない場合がある。 修理が効かないので、ある程度の期間で作り直しが必要になる。 弾力があるため、噛み合せによっては入れ歯がしなる。(力が入りにくい)

磁性アタッチメント義歯

磁性アタッチメント義歯とは、入れ歯と残っている歯のそれぞれに磁石を取り付けることによって、入れ歯の安定感や物を噛む能力を高める方法です。金属のバネも使いませんので、審美的にも改善されます。

料金・治療費 (税別)

保険義歯負担金または自費義歯代＋義歯補強5,000円
+磁性アタッチメント1装置 38,000円
（うち6,000円は磁石付け替え代）×２～

※通常2装置以上必要になります。

止め金が必要ないので、見た目が良い。 カチッと入れ歯が固定されるので、安定感がある。 根っこしか残っていない歯を抜かずに利用できるので、抜かずにすむ歯が増え、噛み応えを感じやすい。

磁石を組み込むために入れ歯を削るため、その部分が割れやすくなる。 少し値段が高い。 二本以上土台となる根だけの歯が必要。 あごの骨は変化するので、入れ歯があまくなると定期的な調整が必要。

コーヌス・テレスコープ義歯　

コーヌス・テレスコープ義歯とは、残っている歯に金属冠をかぶせ、その上から入れ歯を装着するというタイプの部分入れ歯です。
ものを噛む能力が高く、クラスプが必要ないので見た目も良いのですが、技術的に難しいという欠点があるため、予定よりも時間を要することがあります。

料金・治療費 (税別)

チタン床総義歯の費用(20万円)
+ 土台の歯にかぶせる金属冠の費用(1本10～15万円)

※例えば土台の歯が4本必要な場合には、
20万円(入れ歯本体)+10～15万円(金属冠)×4＝60～80万円。

保険の入れ歯よりも自分の歯に近い感覚でものを食べられる。 取り外して洗えるので清潔。 クラスプは必要なく、見た目が良い。 土台となる歯が保険の入れ歯に比べて虫歯になりにくい。

土台の歯が健康だったとしても削る必要がある。(ブリッジと同様) 高度なテクニックを要するため、よく治療が長引くことがある。 他の自費の入れ歯に比べても高価。

詳しくはご相談下さい。